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人事の果たす役割の1つに、採用・退職・異動・出向・転籍などの要員の管理があげられます。要員の管理は短期的から中長期的なスパンでの人員計画を行い推進していくことが求められます。また、正社員・契約社員・パートタイマー・派遣社員など雇用形態の違いにも考慮していかなければなりません。

新卒採用とは、正社員等としての職務経験や社会経験が無い、教育機関を卒業したばかりの人を採用することです。したがって学生を対象に採用活動が行われることになります。経験者採用とは新卒採用の対義語として、一定の職務経験や社会経験がある人を採用することです。経験者採用の意味で「中途採用」という言葉が使われることも多いようです。

退職については、退職・解雇を参照してください。また、定年退職については、現在高年齢者雇用安定法により下限を60歳と定められているが、少子化の問題などにより若手の労働市場が減少することが見込まれていることから、60歳超の定年を設ける企業や、定年自体の定めを撤廃する企業も見られるようになってきました。また今後、厚生年金の支給開始時期が段階を追って65歳に引き上げられることなどから、国の政策により60歳で定年を迎えた従業員について本人の希望があれば、原則として再雇用しなければならないことが義務付けられています。

出向とは、一時的に別の会社に異動(配置転換)を行い、将来的には元の会社に戻ってくる形態です。出向の目的としては、自社にない技術などを習得するため、他社や親会社に出向する場合など、上記とは反対に、自社が持っている技術などを伝えるため、子会社などに出向する場合など、グループ会社内の人材交流のため、余剰人員の削減のため、人員の一時的な融通のため、等を挙げることができます。

人事制度とは、従業員の処遇などについての体系を整備しルール化することにより、企業と従業員との円滑な関係を築き、事務管理の効率化を図るものです。また、従業員のモチベーションアップやスキルアップを図る制度も人事制度の重要な役割です。 一口に人事制度といってもその範疇は多岐にわたり、教育訓練制度・福利厚生制度なども人事制度に内包されます。

評価制度とは、1年間、もしくは半年・四半期などの一定期間の従業員の労働に対する評価をし、給与の昇給額や賞与の額に反映(従業員間に差をつける)させ、または、昇進・昇格に反映させることです。 主な評価制度においては、①情意考課(仕事への取り組みに対する評価。規律性・責任性・協調性などの項目からなる。)②成績考課(会社や上司が要求した仕事レベルの結果。要求した仕事レベルとは職務基準ともいい、この基準が低いと成果が出やすくなる。)③能力考課(会社が定めた各等級(資格)における標準的な能力を定めた職能要件書に対しての能力レベル。)の項目から制度設計をされていることが多いようです。

等級制度とは、従業員を7〜13程度の等級に区分し処遇の差をつける制度です。一般的に、職責(職務)や能力の差で階差をつけ、上位等級ほど賃金が高くなるようになっています。等級を職責(職務)で階差をつける制度を職務等級制度といい、その代表的な例が職階制度といいます。これに対して、能力で階差をつける制度を能力等級制度といい、その代表的な例が職能資格制度です。 等級制度において、上位等級に上がることを昇格(昇級)といい、例えば4級だった従業員が5級に上がるといったことです。また、役職が上がることを昇進といい、例えば課長だった従業員が部長になるといったことです。

職階制度とは、主に公務員などに取り入れられている制度で、役職と等級が一致させる制度です。この制度のメリットとしては、仕事の役割(役職)と賃金がマッチするので、納得感を得やすいことです。その反面として上位ポストが空いていないと、本人にどれだけ能力があっても昇進(昇格)ができないため、モチベーションが下がってしまうことがあります。

職能資格制度とは、等級(賃金などの処遇)を職務レベルから切り離し、能力レベルで位置づける制度です。一般的に、職能要件書などと呼ばれる等級ごとの能力の定義を行い、従業員の能力をもとに等級の位置づけを行うものです。 昇格の基準には、卒業方式と入学方式があり、前者は、現在の等級に求められる能力に満たしたときに、上位等級に昇格させるもので、後者は、上位等級に求められる能力に満たしたときに、その等級に昇格させるものです。

賃金制度とは、従業員の賃金をどのように決定するかを定める制度で、時給制・日給制・日給月給制・月給制・年俸制などがありますが、一般に、正社員では日給月給制〜年俸制をとることが多いようです。また、その額をどのように決めるかでは、次の3つが大きな要素となるようです。
生活(生計)保障・・・年齢や勤務場所、扶養家族数などの要素で決定されるものです。年齢給・通勤手当・扶養手当などがあてはまります。
業務(能力)対価・・・能力の高さや業務の困難さによって決定されるものです。職能給や役職手当などのほか、夜間・休日給、超過勤務(いわゆる残業)手当、特殊勤務手当などがあてはまります。
労働市場での価値・・・一般的に、転職することによって仕事や処遇のレベルアップを図るアメリカにおいて取られる方法で、「この仕事をできる人を採用するのには、どのくらいの賃金が必要か」「このポジションの人を引き止めるのにはどのくらいの賃金が必要か」などといった、労働市場での価値に基づき賃金を決定します。

福利厚生制度とは、賃金とは別に従業員の労働意欲向上のための諸政策であり、大別すると法定福利と法定外福利の二つに区分できます。法定福利は、法律で実施を定められた①健康保険②厚生年金③雇用保険④労災保険のことをいいます。法定外福利は、企業の任意で定めるもので、①住宅補助②慶弔見舞③レクリエーション④食事補助⑤財形貯蓄などがあります。法定福利に関して、保険料は、健康保険、厚生年金、雇用保険はそれぞれ労使の折半、労災保険は会社側が全額負担することになっています。法定外福利に関しては、一般に、勤続の長短により給付レベルに差はあるものの従業員に一律に設定されるものであり、その福利厚生制度を利用できる人とそうでない人が発生し、不公平感が発生することがある(例えば、借上社宅制度において、一定額の賃貸料を補助する場合において、持ち家の人や、親元から通勤する人には、このメリットを享受できないなどといったこと)点や、保養所などの施設の建設や維持管理の費用が負担となる点などの問題があります。

カフェテリアプランとは、選択型福利厚生とも言い、カフェテリア式の食堂のように好きな(食べたい)ものを自分で選ぶのに似ているところから名前が付いた福利厚生制度で、福利厚生メニューの内、自分のポイント(付与金額)の範囲で、自分に必要なメニューを選択できるものです。具体的には、従業員各自にポイント(職階や勤続年数に応じて多寡がある場合もある)が一定期間ごとに付与されます。会社側は、「1ポイント=1000円」というようにレートを設定し、資格取得費用補助、住宅費補助、レクリエーション施設利用というように利用可能サービスを提示します。そして、従業員が利用したサービスの費用を、付与されたポイントを消費する形で会社側が費用補助を行います。

OJT(on the job training)とは、職場内研修とも訳され、職場の先輩・上司から後輩・部下に対し、業務を通じて教育を施す制度です。ただし、指導者を誰にするか、達成目標をどのレベルに設定するかを明確にしないと、OJTという名のもとに放置させてしまう危険性があります。

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