2008年における「労働審判」の申立件数が2,052件となり、制度がスタートした2006年の877件と比較すると約2.3倍に増えたそうです。
2009年については9月末時点で2,553件となり、すでに2008年の件数を大幅に上回っています。
労働審判は、解雇や賃金の不払いなど、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルについて、その実情に即して「迅速」、「適正」、「実効的」に解決することを目的としています。
労働審判の手続きは、労働審判官(裁判官)1名と、労働に関する専門知識・経験を有する労働審判員2名で組織された労働審判委員会(計3名)が、原則として3回以内の期日で審理を行い、適宜調停を試み、調停による解決に至らない場合には、事案の実情に即した柔軟な解決を図るための労働審判を行う手続きです。
この労働審判に対して当事者から異議の申立てがあった場合には、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は通常の訴訟に移行することになります。
労働審判のメリットとしては、原則として3回以内の審理で解決が図られるため、通常の訴訟よりも迅速な紛争解決を図ることができる点が挙げられます。
また、申立ての際に必要となる印紙代も通常の民事訴訟の半額となっており、費用的なメリットも大きいため、労働者側からの申立てが多いようです。
近年の不況により、解雇、雇止め、派遣切りなどをめぐる労使間のトラブルが増加していることが、労働審判の申立件数の増加につながっていると考えられます。
企業側としては、労使間のトラブルを生じさせないような適正な労務管理、就業規則・社内規程の見直しなどの取組みが、今後、より重要になってくるでしょう。