労働安全衛生法第12条では、一定の規模及び業種の区別に応じ「衛生管理者」を選任し、その者に安全衛生業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理させることとなっています。
常時50人以上の労働者を使用するすべてのボ業場でその事業場に所属する衛生管理者を選任することとなっています。 ただし、複数の衛生管理者を選任する必要のある事業場においては、1名に限り労働衛生コンサルタントの場合であれば非専属とすることも差し支えありません。
なお、事業場の規模ごとに選任しなければならない衛生管理者の数は、次のとおりです。
事業場の規模(常時使用する労働者数) | 衛生管理者の数 |
50人〜200人 | 1人 |
201人〜500人 | 2人 |
501人〜1,000人 | 3人 |
1,001人〜2,000人 | 4人 |
2,001人〜3,000人 | 5人 |
3,001人以上 | 6人 |
また、①業種にかかわらず常時1,000人を超える労働者を使用する事業場②常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるものの事業場にあっては、衛生管理者のうち1人を専任の衛生管理者とすることとなっています。
なお、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させる場合は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任することとなっています。
【労働基準法施行規則】第18条
①多量の高熱物体を取り扱う業務及び著し<暑熱な場所における業務②多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務③ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務④土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務⑤異常気圧下における業務⑥さ<岩機、鋲打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務⑦重量物の取扱い等重激な業務⑧ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務⑨鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務⑩前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務
事業場の業種ごとに選任しなければならない免許等保有者は、次のとおりです。
業種 | 免許等保有者 |
農林水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 | 第一種衛生管理者免許もしくは衛生工学衛生管理者免許を有する者または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなど |
その他の業種 | 第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許もしくは衛生工学衛生管理者免許を有する者または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなど |
※免許を受けることができる者
○衛生管理者(第一種・第二種)・・・衛生管理者免許試験(第一種・第二種)に合格した者、保健師、薬剤師など
○衛生工学衛生管理者・・・大学または高等専門学校において、工学または理学に関する課程を修めて卒業した者等で、一定の講習を修了した者など
衛生管理者は、主に①健康に異常のある者の発見及び処置②作業環境の衛生上の調査③作業条件、施貸等の衛生上の改善④労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備⑤衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項⑥労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関る統計の作成⑦衛生日誌の記載等職務上の記録の整備など、の業務を行うこととなっています。
また、少なくとも毎週1回作業場を巡視し、設備、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときに、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。