自動車事故の場合、労災保険の給付と自賠責保険等(自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済)による保険金支払のどちらか一方を受けることができます。この場合、どちらを先に受けるかについては、被災者等が自由に選べます。
しかし、先に自賠責保険等からの保険金支払を受ける場合(これを「自賠先行」と呼んでいます。)には、仮渡金制度や内払金制度を利用することによって損害賠償額の支払が事実上速やかに行われること、自賠責保険等は労災保険の給付より幅が広く、例えば、労災保険では給付が行われない慰謝料が払われること、療養費の対象が労災保険より幅広いこと、さらに休業損害が100%てん補されること(労災保険では60%)など被災者等にとって様々なメリットがあることから、自賠先行をおすすめしています。
自賠先行の場合には、同一の事由について自賠責保険等から支払われる限度額(注)まで労災保険の給付は控除されます。また、労災保険の給付を先に受ける場合には、同一の事由について自賠責保険等からの支払を受けることはできません。
なお、自賠責保険等に引き続いていわゆる任意保険(自動車保険又は自動車共済)による保険金支払を受けるか、若しくは労災保険の給付を先に受けるかについても、自賠責保険等と同様に、被災者等が自由に選べます。
(注) 自賠責保険等の保険金額の上限は死亡による損害の場合3,000万円、傷害による損害の場合120万円となっており、このほか後遺障害による損害について等級に応じて最高3,000万円まで支払われることとなっています。なお、重過失(被災者側の過失割合が70〜99%のとき)の場合を除き、保険金額の過失相殺は行われないことになっています。