1ヵ月単位変形労働時間制では、法定労働時間を次の計算式に従って算出します。
40時間×月の暦日数÷7日
ですから、月の暦日数に応じて、次の3通りとなります。
31日=177.14 時間
30日=171.42 時間
28日=160.00 時間
所定労働時間をこの総枠一杯に設定し、残業がゼロなら割増賃金の支払いを要しないのでしょうか?
それは違います。1カ月単位変形労働制で時間外労働となるのは、次の3通りの場合です。
1日8時間を超えて所定労働時間を定めている場合は、その所定労働時間を超える部分の時間、それ以外の日は8時間を超える部分の時間
1週間40時間を超えて所定労働時間を定めている場合は、その所定労働時間を超える部分の時間、それ以外の週は40時間を超える部分の時間(1.で時間外労働となる時間を除く)
各月については、法定の労働時間総枠を超える時間(1、2で時間外労働となる時間を除く)
3.の要件さえ満たせば、済むわけではなく、1、2の要件に該当するか否か、チェックする必要があります。
たとえば、暦日数が31日で、所定労働日数が20日というケースで考えてみましょう。1日の所定労働時間が8時間固定という場合、月の所定労働時間は160時間となります。祝日が挟まって、4日勤務の週があったとして、その祝日に休日出勤させ、8時間働かせたとします。1日の労働時間は8時間、その週の労働時間も40時間(所定32時間プラス8時間)、月の労働時間も168時間(所定160時間プラス8時間)ですから、前期1、2、3のいずれにも該当せず、割増は必要ありません。
しかし、同じ週の通常の労働日に1時間残業させたら、どうでしょうか。その週の労働間は33時間(所定32時間プラス1時間)、月の労働時間も161時間(所定160時間プラス1時間)でセーフですが、1日については9時間(所定8時間プラス1時間)労働になりますから、1時間分の割増が必要という結論になります。