パート労働法12条で、通常の労働者への転換を推進するために、事業主に対し、①通常の労働者を募集する場合、例えばその募集内容を事業所内に掲示する等して、既に雇っているパートタイム労働者に周知すること、②通常の労働者のポストを社内公募する場合、すでに雇っているパートタイム労働者にも応募する機会を与えること、③パートタイム労働者が通常の労働者へ転換するための試験制度を設ける等、転換制度を導入すること、④その他通常の労働者への転換を推進するための措置を講じること、のいずれかの措置を義務付けています。
なお、本条は、パートタイム労働者に通常の労働者になる機会を提供することを目的とするもので、優先的に採用することまで求めているものではありません。
③の措置を講じることとした場合、パートタイム労働者から通常の労働者への転換の要件として、勤続期間や資格などを課すことは、事業所の実態に応じたものであれば問題ありませんが、必要以上に厳しい要件を課した転換の仕組みを設けている場合は、法律上の義務を履行しているとは言えない場合もあります。
パートタイム労働者からいわゆる契約社員や「短時間正社員」(他のフルタイム正規型労働者よりも所定労働時間が短い、正規型の労働者)、へ転換する制度を設け、さらに、契約社員や「短時間正社員」から通常の労働者へ転換する制度を設ける、といった複数の措置を講じ、通常の労働者へ転換する道が確保されている場合も本条を履行したことになります。
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