パート労働法8条は、通常の労働者と同視すべきパート労働者について、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇(教育訓練、退職手当、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇の基準など)について、差別的取扱いを禁止しています。
事業主は、職務の内容、退職までの長期的な人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同一のパートタイム労働者であって、期間の定めのない労働契約を締結している者については、パートタイム労働者であることを理由として、その待遇について、差別的取扱いをしてはなりません。
期間の定めのない労働契約には、反復更新によって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる有期契約を含むものとします。
①職務の内容が同じ ②人材活用の仕組みや運用などが全雇用期間を通じて同じ ③契約期間が実質的に無期契約、の3要件すべてにあてはまるパートタイム労働者は、通常の労働者と就業の実態が同じと判断され、賃金の決定をはじめ教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他のすべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止されています。
②の「人材活用の仕組みや運用などが全雇用期間を通じて同じ」とは、パートタイム労働者が通常の労働者と職務が同一になってから、退職までの期間において、事業所の人事システムや慣行から判断して同じ、となる場合です。
③の「契約期間が実質的に無期契約」とは、a)期間の定めのない労働契約を結んでいる場合b)期間を定めて労働契約を結んでいても期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当とされる場合、の2つの場合です。
これは、契約期間について通常の労働者と同様であるかどうかを判断する際、形式的に判断するのではなく、実際の取扱いがどうなっているかを判断する、という考え方によるもので、期間の定めがない労働契約を結んでいる場合(aの場合)だけでなく、反復更新によって実質的に期間の定めのない労働契約と変わらない雇用関係の場合(bの場合)も通常の労働者と同様の実態にあると判断します。
期間を定めて労働契約を結んでいても、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当とされる場合(bの場合)について、これまでの裁判例をみてみると、 業務の客観的内容(恒常的な業務に従事しているのか、臨時的な業務に従事しているのか、通常の労働者の業務との違いがあるのか) 契約上の地位の性格(契約上の地位が臨時的か)当事者の主観的態様(継続雇用を期待させる事業主の言動や認識があったか)粦更新の手続・実態(反復更新の有無や回数、勤続年数、契約更新時の手続方法)他の労働者の更新状況(同様の地位にある労働者の雇い止めの有無)、などが判断材料とされています。
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